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「コスモポリタンキャンパス 2026」レポート
ー社会を変える!空間デザインに挑戦ー

2026年9月17日

「コスモポリタンキャンパス 2026」レポートー社会を変える!空間デザインに挑戦ー

2018年から始まった対話×探究型ワークショップ「コスモポリタンキャンパス」。
2026年夏のプログラムは、株式会社長谷工コーポレーションの協力のもと、「社会を変える!空間デザインに挑戦」をテーマに開催しました。参加した26名の中学生は、さまざまな世代が集まる理想の「シェア空間」を考え、その想いを3Dモデルで表現し、VR空間に投影しました。今回は、その5日間の様子をレポートします。

DAY 1 / 7月31日(金)空間の力を知る・探究する

<午前>「くらし」から発見する“シェア空間”の考え方を学ぶ

【基調講演】講師:成瀬・猪熊建築設計事務所 共同主宰 / 芝浦工業大学 教授 猪熊 純 先生
基調講演では、建築家の猪熊 純先生が、高齢者や一人で暮らす人が増えている今の社会に合わせて、さまざまな世代の人が自然と集まっていっしょに過ごせる場所を街の中に作る大切さや、その思いに基づいた建物のアイデアについてお話くださいました。例えば、13人がいっしょに暮らすシェアハウス「LT城西」では、みんなで集まる広い場所だけでなく、あえて「一人でかくれてホッとできる静かな場所」をたくさん作りました。みんなといっしょにいながらも、自分のペースで安心して過ごせる優しい仕掛けです。また高齢者施設の中に「駄菓子屋さん」を設けて高齢者の方がお店のレジを担当することで、買いに来たこども達と自然におしゃべりが始まる「会話のきっかけ」作りの事例などが紹介されました。ただ壁や屋根を作って「建物」にするのではなく、デザインの工夫によって、様々な世代の人が自然と仲良くなり、おたがいに助け合える温かい関係を作れることを学びました。

【社会の課題への着目】チームで取り組むテーマの決定

受講生たちは7チームに分かれて、「今、自分たちが解決したい現代社会の困りごと」について話し合いました。「困りごとを持つ人」を具体的に設定し、様々な世代にとって良い空間デザインを目指して、熱心に意見を出し合いました。

<午前>「くらし」から発見する“シェア空間”の考え方を学ぶ

DAY 2 / 8月1日(土)

<午前>【コト(行動・心理)のデザイン】心と行動を誘導する具体的な技術を学ぶ

【講演・会場見学】講師:株式会社長谷工コーポレーション デジタルテクノロジー・ラボ 室長 中野 達也 先生
2日目は、長谷工コーポレーションの技術がつまった「デジタルテクノロジー・ラボ」を見学し、パソコンで3Dの建物をデザインする最新のシステムや、VRの技術を体験しました。
また中野先生の講話では、ただ建物を作るのではなく「そこを使う人がどんな気持ちになるか」考えてデザインすることの大切さを教わりました。例えば、丸いテーブルを置くことでみんなの視線が集まって話しやすくなることなど、プロが使う「空間デザインの手法」をたくさん学びました。

<午後>【最新テクノロジーの体験】最先端の技術を駆使したVR没入体験

会場のデジタルテクノロジー・ラボで、受講生たちは「VRゴーグル」を着けて、デザイン上の空間を本当に歩いているような体験ができる最新の技術に触れました。目の前に広がるリアルなデジタル空間の迫力に、あちこちから「すごい!」と大きな歓声が上がりました。

<午前>【コト(行動・心理)のデザイン】心と行動を誘導する具体的な技術を学ぶ

DAY 3 / 8月3日(月)

<午前>【設計図の作成】プロの工夫を取り入れ、空間の設計図をカタチに

これまでに学んだプロの工夫を活かして、チームのアイデアを実際の形にしていく作業に入りました。「誰がここで過ごすのか」「その人はどんな体験をして、どんなふうに喜ぶか」という物語を真剣に話し合いながら、紙に設計図を描いていきました。

<午後>【設計図の作成とデジタル製作の開始】メンバーそれぞれの得意を活かした役割分担

午後からは、チームの中で「シェア空間の3D設計図を作る担当」「発表のスライドを作る担当」「VR空間を案内する担当」などの役割を決めました。長谷工コーポレーションの3Dデザインのプロにやり方を教えてもらいながら、パソコンの3Dデザインツールを使って、理想の建物を作り上げていきました。

<午前>【設計図の作成】プロの工夫を取り入れ、空間の設計図をカタチに

DAY 4 / 8月4日(火)

<午前>【表現をつなぐ】データ完成に向けたラストスパート

最終日の発表会を翌日に控え、受講生たちは限られた時間の中でお互いに声をかけ合いながら、設計図の3Dデータや、発表に使うスライド、説明するシナリオを磨き上げました。

<午後>【成果発表会 準備】プレゼンテーションの練習とリハーサル

午後からは、会場にある大きなスクリーンに自分たちが作った3D空間を大きく映し出して、初めての全体練習(リハーサル)を行いました。「どうすれば自分たちの工夫や、空間の良さが聞いている人にしっかり伝わるか」にこだわり、全員で何度も練習をくり返しました。

DAY 5 / 8月5日(水)

【表現する】没入型成果発表会でのプレゼンテーション

【ご講評】猪熊 純 先生 / 中野 達也 先生
いよいよ発表会本番です。講師陣と保護者が見守る中、受講生自身が司会を務める成果発表会が始まりました。
発表チームのプレゼンでは、VRゴーグルを装着した担当者が自分たちの作った3D空間を自由に歩き回り、その目線に広がっている光景がそのまま大きなスクリーンに映し出されました。まるで本当にその建物の中に入り込んだかのような大迫力の映像とともに、自分たちのアイデアを堂々と発表しました。猪熊先生と中野先生から、スクリーンに映るリアルな映像を見ながら、「大人でも思いつかない素晴らしいアイデアだ!」とコメントをいただきました。最後に5日間の挑戦をやり遂げた証として受講生に修了証書が渡され、やりきった笑顔と大きな達成感の中で、すべてのプログラムが終了しました。

【表現する】没入型成果発表会でのプレゼンテーション

7チームが作り上げた、理想の「シェア空間」

<チーム:ご飯>
長い休みなどで家にこもりがちになり、人と関わる機会が減る問題

チーム:ご飯

道路に向かって、バーベキューの美味しい「におい」や音をわざともらす工夫をしました。歩いている人が思わず惹きつけられて、自然と外に出て人と話し合いたくなる空間です。あえて廊下をなくすことで、お互いの楽しそうな様子がそのまま伝わるようにデザインしました。

<チーム:X2>
地震などの自然災害のときに、避難所で安心して過ごせない問題

チーム:X2

大きな地震が起きたとき、避難する場所が不安な環境にならないように考えました。建物を頑丈に支える最新の「耐震柱」をあえて隠さずきれいに見せることで、中にいる人に「ここなら絶対に安全だ」という安心感を与えます。さらにプライバシーを守るためのやさしい仕切りを工夫し、リラックスできる家をつくりました。

<チーム:いちごりん>
いろいろな世代の人が気軽に集まれる運動スペースが足りない問題

チーム:いちごりん

勉強するための静かな自習室・図書館と、にぎやかな公園・カフェをいっしょに作りました。その中間に「川」を流すことで、川のせせらぎがかべの役わりを果たし、にぎやかな音が静かな部屋に届かないように、音が自然と小さくなっていく「グラデーション」のような工夫をしました。運動して貯めたポイントをカフェで使える仕組みも考えました。

<チーム:どんぐり>
本を読む中学生が減っている問題や、人と直接関わる機会が減っていること

チーム:どんぐり

遊園地から帰るときの「楽しかった!」という気持ちを味わえる、大きな丸い形をしたエントランスを作りました。中には、畳の部屋や、少し暗い不思議な部屋など、本のジャンルに合わせて雰囲気がガラリと変わる5つの小部屋を用意し、本の世界にたっぷりひたれる工夫をしました。

<チーム:アイスココア>
勉強しやすい環境の不足と、一人ぐらしのお年寄りがさみしさを感じる問題

チーム:アイスココア

勉強を教えてあげたいお兄さん・お姉さんと、勉強したい小中学生、そしておじいちゃんやおばあちゃんが、自然と集まれるカフェをつくりました。おじいちゃんたちにスタッフとして手伝ってもらうことで運営のお金を節約し、学生たちにとても安い値段のメニューを出す、ずっと続けていける仕組みを設計しました。

<チーム:3π大作戦>
災害時に、体や心のケアが必要なお年寄りなどが安心して休める避難所の不足

チーム:3π大作戦

大きな災害が起きたとき、お年寄りや体の不自由な人が安心して休める場所です。プロから学んだ「隠れられる段差」やスロープ、緑の植物を上手に配置して、人目を気にせず過ごせる工夫をしました。普段は地域の勉強会やヨガ教室、休憩所としてみんなが遊びに行く場所にすることで、いざという時にもあせらずに安心して避難できます。

<チーム:ラッキーセブン>
勉強や仕事の悩み、イライラをすっきり解消できるリラックスのための場所がない問題

チーム:ラッキーセブン

悩みやストレスを抱えるすべての人のために、巨大なキャンディハウスをつくりました。甘い香りや優しい光を使い、まっすぐな壁ではなく「波のような柔らかい壁」で空間を区切りました。最初に優しく心を落ち着かせ、その次に思い切りストレスを発散できるように、人の気持ちの変化に合わせてお部屋を順番に並べました。

参加者の声

受講生より
「みんなといろいろな話をしたり、3Dで自分たちの想いを形にする方法を考えたりした時間が、とても心に残っています。初めて使うパソコンソフトで、最初はむずかしくて『もう駄目かもしれない』と思ったこともあったけれど、チームのみんなと力を合わせて乗り越えられたのが、最高にうれしかったです!」

「人見知りだから最初はすごく緊張していたけれど、お互いの困っていることを出し合ったり、発表の言葉を考えたりするうちに、どんどん仲良くなれました。空間デザインは、ただカッコいい建物を作るだけではなく、人と人の心をつなぐことなんだと知ることができました。」

保護者より
「普段は知らないお友達の中に入るのを嫌がるタイプなのですが、1日目から帰ってきた瞬間に『すごく楽しかった!』と目を輝かせて、興奮しながら話してくれました。たったの5日間でしたが、自ら進んで行動する自主性が育ったことが親の目から見てもはっきりと分かり、本当に良い経験をさせていただきました。」

「こどもが家でふつうに『CAD』や『BIM』といった、プロの使う難しい専門用語を口にしていて驚きました。学校の授業ではなかなか触れられない、本物のものづくりや社会のリアルな話にふれたことで、将来やってみたいことや夢が大きく広がったと感じています。」

猪熊 純 先生(成瀬・猪熊建築設計事務所共同主宰 / 芝浦工業大学教授)
「受講生たちの発表を聞いて、大人でも思わず『なるほど!そうきたか!』と驚くような、素晴らしい点がたくさんありました。ただ単に『カッコいい形』を作るのではなく、『そこにいる人がどう過ごすか』『どんな困りごとを解決するか』という、ものの形ではなく『人の体験(コト)』をデザインする本質に全員が本気で向き合えていたことが本当に素晴らしいです。この5日間で身につけた、仲間と話し合い、形にして伝えるという力は、これからの正解のない未来をたくましく生きていく上で、大きな力になります。」

中野 達也 先生(株式会社長谷工コーポレーション デジタルテクノロジー・ラボ 室長)
「今回のワークショップを通じて、実際に設計者が日々直面している『難しさの壁』と、それをアイデアで乗り越える『ものづくりの楽しさ』を、身をもって体験してもらえたと思います。さらに、ただ空間を作るだけでなく『高齢者の運動を促す仕組み』『ビジネスとして成立させる』『ミステリアスな空間でミステリー小説を読む』などなど驚きのアイデアや視点がいっぱいで、完成した空間に今すぐ行ってみたくなるような素晴らしいデザインばかりでした。」

KCJ GROUPは、これからも正解のない時代をたくましく生きる力をこども達に育んでもらえるよう、プログラムを実施していきます。

主催:KCJ GROUP 株式会社
協力:株式会社長谷工コーポレーション