2025年1月31日
キッザニア福岡で行われた中学生向けプログラム
コスモポリタンキャンパス「福岡テクノロジー人材創生塾2024~未来を創る半導体コース~」
福岡県内の中学校22校から40名の生徒が参加し、最終日にはチームごとにプレゼンテーションを行いました。
三菱電機株式会社パワーデバイス製作所 応用技術統括 山田 順治氏
コースの目的や全体像などを共有した上で、参加者のきん張感を和らげ、参加意欲を高めるためのアイスブレイクを行いました。その後、山田先生による「みんなの未来を明るくするパワー半導体」の講演で半導体の活用の仕方やそのしかけについて学び、今後のプログラムにおける土台を作りました。
九州大学副学長、大学院システム情報科学研究院情報知能工学部門教授、システムLSI研究センターセンター長 井上弘士氏
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社 技術推進室 國廣 奈央子氏
アマゾンウェブサービスジャパン合同会社Public DX Advocate(Higher Education&Research) 澤 抹美氏
富士通株式会社 コンピューティング研究所 研究員(Ph.D.) 今村 智史氏
合同会社つくるばい 代表社員 柴村 英智氏
井上先生の講演「デジタルと半導体の関係を知る!」をとおして、デジタル技術に使われる半導体が私達の生活にどのようなえいきょうをもたらしているか、くわしく学びました。その後、さまざまな会社からゲスト講師の方にお話いただき、IoTシステムの動作を知るMy-IoT実習も行いました。対話コーナーではブースごとに講師の方と活発な交流を行い、半導体に関する知識をより深めました。
三菱電機株式会社パワーデバイス製作所 応用技術統括 山田 順治氏
三菱電機株式会社パワーデバイス製作所にうかがって、半導体製造工場の見学、パワー半導体のしくみを体感するスイッチング動力実験を行いました。実際に半導体の開発と営業に関わる社員さんとの対話も実現し、将来のしげきになる時間を過ごしました。
九州大学副学長、大学院システム情報科学研究院情報知能工学部門教授、システムLSI研究センターセンター長 井上弘士氏
九州大学伊都キャンパスで、半導体技術が結集したスーパーコンピューターや、井上研究室等を見学しました。見学後は、留学生の日常生活のおなやみを聞き、そのおなやみをIoTシステムを活用してどう解決できるか、チームの担当の大学生に相談しながらアイデアを出しました。
最終日は、プログラムの集大成としてDAY 4で考案したアイデアを全7チームがプレゼンしました。講師の方々による講評やチーム賞の発表後、修りょう証の授よも行われ、最後は記念さつえいでプログラムをしめくくりました。
九州大学留学生のおなやみを解決するために、IoTシステムを使ったアイデアを考え、発表しました。
トルクセンサと光センサを用いて郵便物を判別し、重要な郵便物を知らせるシステムを考案しました。これを導入すれば、必要な時にしかポストに行かなくてよくなるとともに、重要書類が届いた時がわかり、見のがすことがありません。また、ポストに簡単に後付けができることもメリットです。
「ゴミの日お知らせごみ箱」を考案しました。このゴミ箱では、ゴミ箱の天井裏に設置したきょりセンサでゴミまでのきょりを測ることで、ゴミの量の測定・表示を行い、そこからおすすめのゴミ出し日を表示してくれます。表示するときには、注意を引くよう音が出るようにし、電気は照明から取るようにします。
本の重複こう入を防ぐアプリ「ご本ですよ!」を考案しました。仕組みとしては、①レジ横の機械で顔認証②本のバーコードをスキャン③買ったりれきがあればエラー表示 といったものです。他にも、おすすめの本のしょうかいや近くの本屋のマップ化など、様々なサービスが展開できると考えました。
『①エアコンに設置した半導体では温しつ度、光度、気圧、部屋にいる人数を、体に身に付けた半導体では体温、発かん量から不快指数を計測し入力する』、『②部屋の形、とびらや窓などの室内の様子、エアコンの風向きを入力すると、クラウドコンピューティング処理を行い、エアコンの設定を行う』という2つのシステムを考案しました。これにより安みんを得ることができます。
家にいる時間が少なくても植物を育てることのできるシステムを考案しました。まず、センサで得た植物の特ちょうや状態の情報をデータ化しコンピュータに送ります。その情報をもとに、水やりなど最適な行動を機械が実行します。このシステムによって、植物のお世話をする時間がなくても育てることができるようになります。
温度センサを活用し、シャワー室のかん気せんの強さ切りかえ忘れを防ぐシステムを考案しました。温度センサから室内のしつ度を入力し、出たパーセンテージに合わせてかん気せんのオンオフが切りかわります。このシステムは、高れい者や子どもがいる家庭、ホテルなどにも、じゅ要があるものになるのではないかと考えました。
AIが、その人の健康状態から作る料理を考え、買い物リストを作成するシステムを考案しました。その買い物リストをもとに食材を買うことで、健康的かつ食材のむだがない生活を送ることができます。買い物リストといっしょにレシピもAIが教えてくれるので、実際に料理をするときも安心です。
三菱電機株式会社パワーデバイス製作所 応用技術統括 山田 順治氏
みなさんおつかれさまでした。わたしたちはこうやって半導体を作り世界のお客さんに提供しているわけですが、半導体そのものは単独でしゃべったり動いたりしません。何かに使っていただいてはじめて役目を果たします。
そういった意味では、今日本の産業全体の元気がないんです。例えば車を見てみると、世界と比べEV化が全く進みません。エネルギーの問題も大変です。日本は、これから半導体をたくさん作るんだと言って進んでいますが、産業の米と呼ばれる半導体において、米をつくるには水と太陽が必要のように、半導体を作るにはたくさんの水とたくさんのエネルギーが必要です。確かに半導体を作るのはいいことではありますが、そこに必要な水やエネルギーは、これから日本はどうやって手にいれていくのか…そういった問題が山積している日本の将来を考えたとき明るくなりませんでした。でも半年ちょっとまえにものすごく明るくなったんです。
それは何かというと、ここキッザニアでみなさんの先ぱいのプレゼンを聞いたときです。どうしたものかと思っていた数年でしたが、この人たちに任せると日本はまだいけると思いました。しかしその後大人たちと話しているとまた暗くなってきていました。そして今日、また明るくなりました。何がうれしいかというと、プレゼンのなかに「こんなものできるわけないじゃないか」というネガティブなものがないことです。これがあればうれしい、できる、楽しい、といった気持ちが、科学や技術において大変重要なのです。どうぞ、今の気持ちを忘れず社会にでてきてもらえることを願っています。
九州大学副学長、大学院システム情報科学研究院情報知能工学部門教授、システムLSI研究センターセンター長 井上弘士氏
おつかれさまでした。特にDAY 4 では短い時間でつめてこんで行いましたが、みなさん休けいなしでぶっ通しでやっていて、エネルギーを感じました。
5日間を通して半導体を難しいものだと感じたかもしれません。DAY 2では、ふだん大学で3講義にわたる内容を30分程度につめこみました。あれは、難しいと感じて当たり前なのです。なぜなら、世界の最先たんだからです。みなさんはDAY3で世界の最先たんの工場を見に行き、DAY 4で世界最先たんの半導体を想像しながら、それをサービス・システムにつなぐにはどうしたらよいか考える体験をしました。
「難しい」というのは、「みんなにはできない」ということです。この難しさを乗りこえた人たちだけが行ける世界があり、新しいものをつくることができるようになります。難しいことにぶつかったときはラッキーだと思ってください。みなさんが他の人よりさらに一段上に行けるチャンスなのです。どんどん難しさを見つけてそれを乗りこえていってください。
もうひとつ、今回みなさん本当に素晴らしいワークショップをやってくれましたが、短時間でこれほどのチームワークをつくるのはすごいです。大きな会社でさえも、解決困難な課題があるとき、大学生などを集めた若いチームを作って解決のためのヒント・エンジンにすることがあります。
みなさんは、今回最初の一歩をふみ出しています。これからのテクノロジーを支えるのは、みなさんたちです。ぜひ、難しいことに直面した時、「これからの世界を自分がつくるんだ」という気持ちを持って取り組んでほしいです。そして、いつかみなさんと、新しい研究をいっしょにできる仲間になれたらと思います。
「コスモポリタンキャンパス」はこれからも正解のない時代をたくましく生きる力をこども達に育んでもらえるよう、プログラムをじっししていきます。
共催:福岡県
後援:一般社団法人 九州経済連合会
協力:九州大学システムLSI研究センター /
三菱電機株式会社パワーデバイス製作所